海と森、芸術家の愛する島
バンクーバーとバンクーバー島の間のジョージア海峡には無数の島が点在しています。バンクーバーのツワッセン港からフェリーに乗りこみ1時間半、ブリティッシュコロンビア州の州都ビクトリアの近くまで来ると緑鮮やかなソルトスプリング島が見えてきます。空には白頭ワシが音もなく舞い、波も無く穏やかな海面をヨットが滑って往きます。
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フェリーが狭い入り江に入って行くと、頬を撫でる風も急に優しく。入り江の両側には、30フィートを超える大型のヨットが繋留された、ウォーターフロントの家が並んでいます。
ソルトスプリング島を訪れて感じるのは、時間の流れがゆったりしていることです。そして、豊かな自然と島の人々の心の温かさ。そんな条件の下、多くの芸術家たちがこの島に移り住み、陶芸やクラフト、絵画などの創作活動に励んでいます。
そんな芸術家たちが、自宅の一角にあるアトリエやギャラリーを一般公開し、観光客たちは「スタジオツアー」として巡るのがこの島の人気アクティビティのひとつとなっています。彼らの作品を楽しみながら生活の一部にも触れることができます。
オーガニックアイランド
ソルトスプリング島は、“オーガニック・アイランド”として知られています。島には、250近くの農場があり、全体の80%の農家が、農薬を使わない有機野菜を育てています。カナダでは“オーガニック”と認定されるものを生産するには、とても厳しい規定を守らなければなりません。しかし、その分出来上がったオーガニックフードは安心できるもので、多くの消費者に評価されています。
牧畜も盛んなこの島では、ラム肉やチーズなども有名です。
ソルトスプリング島産の羊は、さんさんと降り注ぐ太陽と、島に吹く潮風をたくさん浴びた牧草を食べて育ちます。特に生後5ヶ月までのラムは、上質なうえ生産量が少なく、「幻のラム」として多くの美食家をうならせてきました。
ここ数年で、ソルトスプリング島の温暖な気候を利用して、ワインも作られるようになりました。もちろん、オーガニックです。
また、ワイルドブラックベリーやラズベリー、ローズヒップもそこら中に自生しています。ブラックベリーは、もちろんそのまま食べても美味しいのですが、ジャムやワインの材料にしたりします。
また、冷凍保存しておけば、ヨーグルトにのせたりスム−ジーを作ったりして楽しめます。
ローズヒップは野薔薇の実ですが、これは乾燥させて、お茶にしたり、オイルに漬けてアロマ用に使ったりできます。ビタミンCが豊富でお肌にも良いらしいです。
名物サタデーマーケット
毎週土曜に露天で開かれる「サタデーマーケット」には、世界中から毎年20万人以上のツーリストが訪れています。島のアーティストのスタジオやギャラリーは個別に訪問することもできますが、土曜日にはたくさんのアーティストたちの作品を一度に楽しむことができます。
また、農産物やチーズ、ジャム、サンドイッチ等の加工品、クッキーやパンの店も並びます。晴れた日にはストリートパフォーマンスや指圧のサービスも。さわやかな風にふかれながら気軽にマッサージ受けたり、隣の芝生で海を眺めながら、軽いランチを楽しむのもいいかもしれません。
サタデーマーケットの様子>>
美しい自然
この島には多くの美しい自然が残されています。豊穣の海、深い森、青い湖、鹿やリス、ミンク、アザラシなどの野生動物の数々。その背景には島の人々がReduce(資源の節約)、Recycle(再利用)、Conserve(自然の管理)をモットーに、地球温暖化などの地球レベルの環境問題に積極的に取り組んでいます。
人々は、島にゆったりと流れる時間を楽しみ、優しい自然と調和し、逞しく生きています。